僕は、左半身が農夫、そして右半身がピエロという、大変めずらしいカチーナで、ホピではパユンタムという名で呼ばれています。 ホピという土地は3つのメサに分かれているのですが、実は3つのメサにはそれぞれ特有の伝統と文化と方言があります。ほとんどのカチーナの名前は3つのメサで共通していますが、僕のようなめったにないカチーナになると、メサによって呼び名が違ってきます。
それで、作者がどのメサ出身かで呼び名が決まるんですが、僕の作者はフィルバートさんなので、フィルバートさんの出身である第3メサの方言で名前がよばれます。これがたとえば第1メサのクラークさんが僕を作ったら、今度は僕の名前がナトゥクヴィカ((Natukvika)になります。それぞれのメサでまったく違うんです。ちょっとややっこしいですか?でも、僕のようなカチーナを作るには相当な技術と経験を要するんで、ほとんどめったに作られることがないため、こういうケースは今後もおそらく僕だけだと思います。どうかご安心ください。
さて、半身がピエロで、半身が太鼓をたたいて種まきをする農夫の僕ですが、名前はメサによって違うとはいえ、役目や象徴しているものは共通しています。僕はホピの儀式では、コーンダンスのときにいきなり飛び出して来て思いっきり太鼓を叩くカチーナで、僕が飛び出していくと大喝采を受けるんです。ピエロといっても、ホピの儀式では観客をからかったり、意地悪をしたりするピエロがほとんどですが、僕は心のやさしい、性格のいいピエロ。半身の農夫の部分の顔の色は、通常、グリーンかブルーでこれは水を意味し、また額にあるのはアワビの貝殻は雨のしずくを象徴しています。ホピのひとたちにとって水は大変貴重ですし、ましてやコーンはホピでは最も重要な大地の産物です。彼らにとって雨というのは神様からの恵みなので、僕が儀式で飛び出してたいこを叩くとそれがきっと雨をもたらしてくれると大いに期待し、場が盛り上がるんです。それで僕はコーンダンスの儀式ではなくてはならないカチーナとしてホピのひとたちから親しまれています。
僕の生みの親であるフィルバートさんは納得ゆくまで時間をかけて僕を制作したそうです。僕は現在ロサンゼルスのカチン・マナのところで管理されていますが来春には日本にも遠征する予定です。下は作者のフィルバートさんで、先日ロサンゼルス近郊にやってきたときに撮った写真です。
身長は頭の羽飾りをいれて約29センチ。コットンウッドに自然顔料で彩色。左半身の頭部は羽飾りがふんだんに使われており、右半身のピエロの頭部のアクセサリーはアイボリー色の厚紙と太めの白い毛糸が使われています。額にはアワビの貝殻が使用。彩色、ディテール共に素晴らしく、大変完成度の高い作品に仕上がりました。フィルバート・ホナニー作。
(価格)太陽
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